おばちゃんパワー

会計の学校には何人かの日本人がいます。でも、私と同じ時期に入った日本人は一人だけ。60歳ぐらいのおばちゃん(日本では年金がもらえるみたいな事を言っていたから)。このおばちゃん、髪の毛ぼさぼさで、化粧もしてなくて、パジャマみたいな服着てて、ほんと、おばちゃんって感じ。でも、いつも私の隣に座ってきて、いつもぶつぶつ私なんてだめよみたいなネガティブな事や文句ばっかり言っていて、いつも答えを見せてーとか教えてーとか頻繁に話しかけてくるので(しかも、すごく声が大きい、しかもしかも日本語…)、ちょっとうざいなぁと思っていたのが本音。秋からは、授業というものはほとんどなくて、自分のペースで、どんどんテキストやプロジェクトをこなしていくのです。分からなかったら、先生に聞くって感じ。今まではスローな授業ペースに苛苛していて、暇を持て余していましたが、今は、周りを気にせずどんどん進められるので嬉しい。ただでさえ、この会計クラスを終えるのに、最低1年はかかるのに、私には時間がない。人よりどんどん進めていかなければいけない理由があるのです。でも、このおばちゃんが…。でも、目上の人だし、答えを見せたり、教えたりする嫌でもないんだけど。

で、今日、このおばちゃんが、いつも教えてくれてお世話になりっぱなしだから、是非、お昼をご馳走させてと、日本食のランチをご馳走になりました。鯖焼き、刺身、から揚げ、筑前煮、どれもおいしかった。単純な私は、ランチをご馳走になり、教えるのも悪くないなぁなんて…なんてゲンキンな奴。

いろいろ話を聞いていたら、おばちゃんは、数十年前に、アメリカに語学留学に来て、日本人男性と結婚する事になり、それから、ずっとアメリカ在住。早くにご主人を亡くし、女手一つで、子供三人を育ててきたそうです。現在、子供達三人とも大学生。大学の学費はローンを組んでいるとは言え、やりくりするのは大変らしくて、仕事を三つもかけもちしているらしい。異国で、一人で子供を三人育てるって、想像を絶します。(アメリカでは、大学費用は、子供が自分でアルバイトをして払うか、大学や国のローンを使って、子供が卒業後、自分で返す事が殆ど。日本みたいに親が払うっていうのはあまりないそうです。)だから、おばちゃん、いつも時間がない時間がないとかぼやいていたんだなぁ。それでも、毎週二回、会計のクラスに欠かさず出席するおばちゃん。何で会計なんですかと聞いてみた。今までいろいろ仕事をやってきて、この歳でも雇ってもらえるのは経理だし、どんだけ会社が傾いても経理だけは最後まで解雇されないからって。なるほど。でも、ただでさえ忙しいのに、何故、今、学校なんですかと聞いたら、『いくつになってもいつもチャレンジしていたいから』。何か見かけは冴えない(ごめんなさい)おばちゃんがすごくかっこよくみえました。60歳になっても、常に新しい事をチャレンジできるかっこいいおばちゃんになりたいもんです。